記憶の断片小説続編・ロードムービー「卒業」/虹村 凌
しを買って出たのだ。
繋がらない電話が、一度だけ繋がった事がある。
正直に言おう、俺はつながった電話を切ったのだ。
ここで話が繋がってしまえば、俺と舞子はおしまいになる、と。
受話器をたたきつけて、そ知らぬ顔で「電話が繋がらない」と伝える。
笑えよ、俺は卑怯者だ。
この夏の間に、俺は岐阜に向かった。
長良川の花火大会に行くために、侑子に遭うために。
舞子に振り向いて欲しくて、その為だけに岐阜に向かった。
舞子とお茶をしたり、御話したりで、夜行バスに乗り遅れた。
その時の話も、別のエッセイに記してあると思うので、割愛させて頂く。
結局、俺はどうにか侑子に会う事が出来た。
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