空を飛ぶ夢/ajisai
瞳を輝かせてきっぱりとそう言った
天使は戸惑い、困ったように苦笑した
それ以上かける言葉も見つからず
少年に祝福の祈りを捧げ、別れを告げると
月に向かって羽ばたいて行った
少年は天使の姿が見えなくなっても
ずっと夜空を見上げていた
それから数ヵ月後
ある満月の夜、天使は再び少年に出会う
少年は死神に導かれてやって来たのだ
天使は驚きのあまり声も出なかった
「凄いね、翼もないのに
僕はお空を飛んできたよ。」
少年は天使に向かってお日様の様に笑う
「僕、翼を作って高いところから飛んだの
ちょっとの間だったけど僕は風に包まれて
空を羽ばたくことができたんだ。」
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