異形の詩歴書 13歳/佐々宝砂
うもなく好きだった。それから蔵原伸二郎の「断片」、大手拓次の「青狐」、草野心平の「青イ花」と「秋の夜の会話」、北原白秋の「時は逝く」、八木重吉の「素朴な琴」、安西冬衛のあまりにも有名な「春」、室生犀星の「寂しき春」、中勘助の「われら千鳥にてあらまし」、吉田一穂の「少年」、壺井繁治の「朝の歌」、神保光太郎の「鳥」……
私は自分で詩を書こうとは思わなかった。この聖者の群に自分が加われるはずなどないと思った。私はノートに聖者たちの言葉を書き写し、簡単な感想を書き添えた。それで私には満足だった。
2001.3.27.(初出 Poenique/シナプス)
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