異形の詩歴書 14歳夏/佐々宝砂
島由紀夫も大藪春彦も混然と並んでいた。しかし、『家畜人ヤプー』は私にたいした影響を及ぼさなかった。面白いしヘンな本だしこれを読むのはどうやらイケナイことらしい、とは思ったけれど、それが私にとって必要な本であるとは思えなかった。それは一風変わった夾雑物に過ぎなかった。
私に必要なものとは、いったいなんだったのだろう。私のもとには、でたらめな順序で書物と言葉が訪れた。私は拒まなかった。強烈すぎる書物、血と暴虐の書物、性的な書物、そういったものにどんなに蹂躙されても。
このでたらめな悪い夏の一日、私は倉橋由美子の『スミヤキストQの冒険』を読んだ。正直なところ、よくわからない本だと思った
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