異形の詩歴書 14歳夏/佐々宝砂
て寝た。
SFがあんなに面白く感じられたことはない。いや、正確に言うならば、面白いものはみなSFだと思った。SFというジャンルが私の中で巨大化していた。それはすべてを取りこもうとしていた。SFこそは世界最高の文学ジャンルだと思った。私は『銀河鉄道の夜』と『遠野物語』と『椿説弓張月』をSFとして再読した。『黒死館殺人事件』も『家畜人ヤプー』も、SFと同じ文脈で消化した。『家畜人ヤプー』は「読んではいけない」と禁止された唯一の本だったが、こんな面白そうなものを活字に飢える14歳が放っておくはずがない。母の本棚は、面白そうな悪書の宝庫だった。そこには宇能鴻一郎も老舎も赤川次郎もニーチェも三島由
[次のページ]
前 次 グループ"異形の詩歴書"
編 削 Point(4)