異形の詩歴書 14歳夏/佐々宝砂
 
私は、古いSFとへんてこなSFリメリックばかりを読んでいたわけではない。当時最新だったSFにも目を通していた。それは楽しみというより義務、やらねばならぬことのようにすら思われた。当時のSFマガジンの最新号には、栗本薫の『レダ』が連載されていた。私は『レダ』を『魔の山』と同傾向の小説であると感じた。私は自分が『レダ』の主人公である少年イブと同じ人間だと思い、あるいは自分が副主人公のレダの分身であると思い、つまるところ『レダ』は他ならぬ私自身のことを書いた小説であると思い、『レダ』こそは私にとって世の中でいちばん大事な小説であると思った。それで私は、夜がくると『レダ』が連載されたSFマガジンを抱いて寝
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