異形の詩歴書 14歳秋/佐々宝砂
ゆー可能性は無視した)、放課後の教室で私はそのひどく気にかかる文章の出典を聞き出した。『寺山修司詩集』である、とそいつは答えた。これから何度も言及することになるであろう角川書店のカラー版日本の詩集(この全集が私にとって詩の原体験なのでしゃあないの)、その19巻に収録された『寺山修司詩集』……私は手続きもしないでその本を持ち帰った。
「田園に死す」はかなり好きになった。それから「チェホフ祭」も。私はその一部をノートに書き写した。一方、「李庚順」は私に何の影響も及ぼさなかった。それは決してつまらない叙事詩ではないけど、「李庚順」より山田風太郎の「蝋人」の方が私は好きだった。「地獄変」もなんと
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