異形の詩歴書 〜10歳/佐々宝砂
 
い、だとしても、ひとはコトバで遊ぶことができる……そんな複雑なことは考えもしなかった。私は単純にコトバをおもしろがった。私が大好きだったのは「だって」だった。「ぶったって/けったって/いててのてっていったって」……どうやらこのころから私は根くらい性分であるらしい。

 同じころ、母は『マザー・グースのうた』を買ってくれた。とてもおもしろかった。でもおもしろいだけではなくて、どこか怖くて、だから好きだと思った。私は『マザー・グースのうた』を貪るように読んだ。ひねくれ小路のひねくれ男や、何にもしないばあさんや、弱っちい仕立屋さんや、ほかの鳥のたまごを吸っていい声で歌おうとするかっこう鳥なんかが好
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