異形の詩歴書 〜10歳/佐々宝砂
 
がら、その意味なんてまるでわかっちゃいなかった。ただ暗唱してるだけなのだから、オウムみたいなものである。最初に覚えた短歌は「古の奈良の都の八重桜……」だ。この続きはご存じのように「けふここのへににほひぬるかな」なんだが、これを歴史的仮名遣いではなく新仮名遣いで読むのが、小学校低学年の私にはおもしろく思われた。つまり、音がおもしろかったのだ。

 それを見てやはり年相応のものを与えようと思ったのかどうか知らないが、そのころだ、母が私に谷川俊太郎の『ことばあそびうた』を買ってくれたのは。私は、その本が、ものすごく、好きになった。コトバには意味がつきまとう、詩は絶対に意味から逃れることはできない、
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