見えない心臓/塔野夏子
 
見えない心臓が一つある
僕らのあいだのどこかにある

見えない心臓は
僕らに見えない血管をめぐらせている
僕らは同じ血の流れをわかちあう
僕らは同じ脈搏をわかちあう

そして見えない心臓が
春をうたいはじめたので

僕らは一緒に歩いてゆく
陽のあたるあかるい道を
道の両側にはずっと
とりどりのチューリップが咲き並んでいる



   グループ"春のオブジェ"
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