オカルト/岡部淳太郎
 
眼を閉じよ
どんな風景が
どんな制裁が
君をここまで連れてきたのかを想像せよ
踏みつぶされた
ひとつひとつの物語を噛みしめて
陽の下でのあらゆる可能に背を向けて
夜の中での不可能に随伴するのだ
眼を閉じよ
宇宙が静かに
だが確実にその存在を主張しつつあるいまこそ
君は犬の光に照らされて
攪拌された真の歴史を実行するのだ
百の夜が開かれ
百の夜が閉ざされる
この地上で
入水した英雄たちの屍を背負い
垂直に起き上がって狩りの姿勢でほくそ笑むのだ
時は夜
どこまでも伸びてゆく鏡の夜
君は眼を閉じて
毒に変った傷を
人類の街路に向けて開け
孕まれていた死がゆっ
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