オカルト/岡部淳太郎
ゆっくりと目醒めるだろう
騙されていた種がゆっくりと歩き出すだろう
眼を閉じよ
何が見えるのか
大声で叫べ
眼を開け
どんな習慣が
どんな懲罰が
君をあそこまで運んできたのだったかを確認せよ
足蹴にされた
どろどろの感情を舌先で舐めて
正当化された私怨に固まって
不当な事件の記憶を告発するのだ
眼を開け
宇宙は口承で伝えられ
素数に単純化されて封印された
その偽装した果実を孤独のうちに繙け
君は魚の知恵に照らされて
呪われた書物に読みふけるのだ
百の眼が開かれ
百の眼が閉ざされる
この街区で
またひとつの新しい星気体週間(アストラルウィークス)に微笑
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