人間/岡部淳太郎
暗い
宇宙の夜に中に
最初の人間が現われる
途端に 宇宙の空は晴れ渡る
ように見えるが それだけだ
相変らず
宇宙は 際限のない夜に包まれている
最初の人間はぼんやりと坐りこみ
すべるものの早すぎる跳梁に気づかずに
夜の広さを噛みしめる
そこに二人目の人間が現われる
孤独は癒され
彼等はそれぞれに
自らを知る
暗い
地球の夜の下で
人間は増えつづけ
都市は整えられ
歴史は形作られ
(その裏で すべるものは笑い)
恐怖を造形し
恐怖を駆逐し
(その裏で すべるものは笑い)
人間はいま起こった出来事をすぐに忘れて
夜が
変らずそこに在ることも忘れて
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