道/岡部淳太郎
る
だから脱ぎ捨てねばならぬ
そんな確信で街灯を笑い
すみやかに人の心を忘れて
自らの体にぴったり合った
十字架をつくり出そうと試みる
夜、
幽霊が
すべっていった……
その軌跡を人は追いかけ
その尾行調査の途中経過を
夜に向かって報告する
そして謎はつづき
事実無根の祟りが人に払い戻しを要求する
そして道はつづき
孤立無援の怒りが夜の窓から垂直に落下する
いまこそ人は
夜に踏みこむ
夜は 古の恐怖として人のすべてを包囲する
だが恐怖に意味はない
ただ そこに在るだけだ
人間の時間の終りに盛大な祝杯を
内側を登って
そのものたちは呪いの言葉をつぶや
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