幽霊たち/岡部淳太郎
 

幽霊がすべるのが、
ただひとつの確かで、明らかなことなのですが、それさえも、時にあやふやになりながら、なおも、
私は待っているのです。
私の脚は途中から、すううっと、すううっと、消えていって、それとともに、私のぜんぶがそこの緑の茂みの中に溶けて、必然的かつ完璧な保護色。そこで思う存分、気の済むままに、
私は待つことが出来るのです。
ほら、向こうから誰か知らない、男のひとがやってきました。彼は多分、私の待っている誰かではないのでしょうが、とりあえず、彼にとり憑いてみようと思います。

第二の幽霊

げ、げ、げろ、ろろろろろ、わ
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