鬼火の引力/
岡部淳太郎
鬼火はふわりと舞い上がる
突然 更に高いところに移動する
君は鬼火をつかまえようとして
つまずく
そこは墓地の前
眼下に街を見下ろす断崖になっている
君は足を踏み外して
翼あるもののように空に投げ出される
鬼火は空高く
君の手の届かないところに浮かんで
微笑むように瞬く
あれは鬼火
あれは妖しく輝く君の彼岸の姿
連作「夜、幽霊がすべっていった……」
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