流体静物/岡部淳太郎
そして佳境に入った祝宴は
いつ果てるともなくつづく
せめて笑え
君は死んだ
君の生は
もう明るい陽を無条件に享受することはない
倒立した塔を褒めたたえ
これら魔の巣窟に敬礼せよ
そう
いまはいつ終るとも知れぬ夜なのだ
動かないでいるがために
静物の汚名を着せられたものどもは
ゆっくりと
すべるように流れ出す
三つのしもべのうちのひとつのような
滞りなく優雅な動き
そのさまを目撃して
予言者は戦き
歌手は息を呑み
そして画家は驚く
せめて笑え
君は死んだ
君の時は
もう単純に前進するものではあり得ない
ねじれた壺を抱きかかえ
これら暗い予感に首肯せよ
そして国境を横断して静物は
果てのない場所へと赴く
宇宙は星を盲にし
懐かしい客のために席を空ける
これらすべてを疑う者は
すべるものによって死刑に処せられる
曰く
――すみやかに、
縛り首。
連作「夜、幽霊がすべっていった……」
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