異常気象/岡部淳太郎
 
世界は正常で
人間は生まれた時から既に正しいと
信じる脳天気な操り人形たち
彼等のはきはきした口調
輝く瞳を尻目に
いま空高く
首が飛ぶ
もう数世紀も前に胴体から切り離されて
わが骸をこの眼におさめん
という積年の決意をもって
首は飛びつづける
うちの子はとても明るい子で
彼はどこそこ大学を優秀な成績で卒業されましてね
そんなたわごとどもを尻目に
いま空高いところから
蛙が降ってくる
げろげろげろげろろろろろろ
嘔吐の速度で
すべての物理的法則を無視して
蛙は地上に降り注ぐ
ついでに魚も降ってくる
呼吸困難に無言で口をぱくつかせ
魚の目を患う親父の上にも
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   グループ"夜、幽霊がすべっていった……"
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