懶 惰/塔野夏子
 
浅い午睡に
思いがけず野蛮な夢をみる
それを誰かのせいにしてみたところで仕方ない
けれど

ああ
夏が甘く爛れる匂いがする
それは私の倦怠と
なまぬるく混ざりあってゆく

何もかも煩しいのだ
何もかも溶け出して
流れてしまえばいいのだ

何処へも行きたくないし
何もしたくない
ああ
夏がみるみる形を失くしてゆく
とめどなく傾き頽れてゆく

甘く爛れる匂いは
まるで私の身体から立ちのぼるようで

浅い午睡に
思いがけず野蛮な夢をみる
それが貴方のせいだとしたら
あまりにもありふれていて
わらってしまう

    裏庭では
    羽黒蜻蛉が
    音もなく羽を開閉する気配――




   グループ"夏について"
   Point(7)