懶 惰/塔野夏子
浅い午睡に
思いがけず野蛮な夢をみる
それを誰かのせいにしてみたところで仕方ない
けれど
ああ
夏が甘く爛れる匂いがする
それは私の倦怠と
なまぬるく混ざりあってゆく
何もかも煩しいのだ
何もかも溶け出して
流れてしまえばいいのだ
何処へも行きたくないし
何もしたくない
ああ
夏がみるみる形を失くしてゆく
とめどなく傾き頽れてゆく
甘く爛れる匂いは
まるで私の身体から立ちのぼるようで
浅い午睡に
思いがけず野蛮な夢をみる
それが貴方のせいだとしたら
あまりにもありふれていて
わらってしまう
裏庭では
羽黒蜻蛉が
音もなく羽を開閉する気配――
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