キリエル人(きりえるびと・ウルトラマンティガ)/角田寿星
そのキリエル人は目醒めた。棲み処である次元の断層から彼の惑星を覗く。
邪神は斃れ時代は過ぎていった。ゲームの終焉? ――そんなことは無い。
二足歩行の躰を想起し思念だけの存在からキリエロイドに実体化する。
彼の惑星に通じる路を考えるとすっかりと古びた苔むした門が顕れた。
かつて地獄の門と呼ばれた禍々しさは過去のものとなった。惑星の側から
過分に湿った温かい風が吹き込み無色透明の水がキリエル人の膝を浸していく。
しずかだ。
視界が啓ける処まで歩こうとする。みどりのわずかな蒼穹の裂目を巨大な
烏賊が羽ばたき横切って往く。苔の丘に擬態した捕食者が待ち伏せして
突如として沸き上がり躰
[次のページ]
前 次 グループ"怪獣詩集"
編 削 Point(1)