ウー(ウルトラマン)/角田寿星
れどこに消えていくのだろう。
大地を貫いて林立する高層ビルは千年後にはどうすれば良いのだろう。
誰もこたえてくれないしこたえようともしない)
うー
きょうもまた
笛のような雪ん子の声が
雪の白夜にこだまする
うー
いつしか雪ん子は
これ以外の声を発しなくなっていた
あたかもことばを
なくしてしまったかのように
ひとびとの憎悪に晒され
呼吸や食事をするかの如き差別を受け
日々の習慣や娯楽のように迫害されて
何度となく殺され続ける一生と
誰からも忘れ去られ
存在すら なかったことになる生涯
どちらのしあわせを
選ぶべきだったのだろう
うぅー
雪ん子の声に呼応して
吹きおろしのやまびこが麓の廃村まで届いて来る
それを聴き 畏れおののく者は
もういない
雪ん子は被っていた藁帽子を雪原に置くと
長い白髪を山おろしの風になびかせて
ゆらゆらと吹雪の向こう側へ歩いて行った
すぐに消えてしまう
足跡を残して
うー
うぅー
風の声だけが
いつまでも鳴り響いている
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