前田見知子さんという画家/大町綾音
描くという人もいないわけではなさそうである。
しかし、氏のガラス絵の技法は通常のものとは少し異っている。というのは、普通のガラス絵の場合、ガラス容器などの一部にアクセントとして絵を描くのに対して(氏自身も、そうした作品を作ってはいる)、氏の場合は一枚の硬質ガラスをカンバスに見立てて、通常の油彩画のようにそこに色を重ねていくのである。着色には、油彩絵の具を使う。
当然、油彩絵の具は乾きが遅いために、一度に何枚もの絵を描いていくことになる。……時々ガラスを裏返して、そのときの「出来上がりの様子」を確認しながら。
「だからねえ、よく台所なんかで描いているのよ、お料理とか作りながらね」
実に
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