前田見知子さんという画家/大町綾音
実に、豪儀な作家だと思う。印象派の画家たちなんかも、きっとこんな感じだったのではないだろうか……。
一度、それは氏と知り合って間もないころだったけれど、氏の個展に差し入れを持って行ったことがある。
そのとき、わたしはすでに氏のガラス絵を1枚買っていて、その絵は今結婚祝いに贈った兄の家にある。
ターコイズを主調とした背景に、色とりどりの花たちが一本の花瓶に活けられている様子を描いた花の絵である。その絵に描かれている絵の具の黒い部分を指さして、彼女は、
「この絵はあなたにぴったりよ、見て、この黒い部分なんてあなたにそっくり」
と、言う。
もちろん、「買って」というのである。彼
[次のページ]
次 グループ"ライフ・イズ・リテラチャー"
編 削 Point(1)