■批評祭参加作品■夭折をあきらめて夜が明けてゆく/岡部淳太郎
して、二十歳を過ぎてからも、中原中也や立原道造などの夭折詩人の詩に強く惹かれたりしていた。
恐らく、精神的に未熟だったのだろう(それはいまでもあまり変らないのかもしれないが)。確固たる自分というものを確立出来ない、自分を信じきれないからこそ、成長することを拒み、もうそれ以上成長しなくても済むような夭折に憧れていたのだろうと思う。
僕にはもはや何もないのだ
僕は空手空拳だ
おまけにそれを嘆きもしない
僕はいよいよの無一物だ
それにしても今日は好いお天気で
さつきから沢山の飛行機が飛んでゐる
――欧羅巴(ヨーロッパ)は戦争を起すのか起さないのか
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