■批評祭参加作品■夭折をあきらめて夜が明けてゆく/岡部淳太郎
誰がそんなこと分るものか
今日はほんとに好いお天気で
空の青も涙にうるんでゐる
ポプラがヒラヒラヒラヒラしてゐて
子供等は先刻(せんこく)昇天した
(中原中也「秋日狂乱」より)
このような世の中に対する無関心、どうでもいい感じ、淋しさを感じてはいるのだけれど、それを積極的に打破しようとしない感じ、一種の虚無感とでもいうのだろうか、そんなものを僕も持っていた。どうでもいいと思って、何に対しても能動的になれない怠惰。そんなものが心の領域の多くを占めていたら、自ら進んで死を選ぶことなど出来るわけもないのだが、こんな虚無感こそが死への出発点なのだろう
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