その日は桜の花が咲いていた/岡部淳太郎
 
はだらしなく広がっていた。それはまるで、世界そのものがあなたの死と僕たちの悲しみに関心を示していないように思えて、余計に悲しい気持ちになった。それからあなたは、あなたが暮らしていた家で、僕たちがその後も暮らしていかなければならない家で、四十九日を過ごし、海の見える墓地にしまわれた。その墓地のある小さな町は僕とあなたにとって故郷みたいなものだったから、あなたが眠るにはいちばんふさわしい場所であるように思えたんだ。あの日も晴れていた。あなたの死にまつわる記憶では、天気はすべて晴れだ。あなたの死の翌日も、あなたの葬儀の時も、あなたの骨を納骨する時も、なぜかいつも晴れていて、その晴れ渡った空が、あなたの死
[次のページ]
   グループ"3月26日"
   Point(7)