その日は桜の花が咲いていた/岡部淳太郎
別な花になってしまったんだ。
その日、あなたの死に接して僕が心をなくしたようにぼんやりとした気分になってしまったのは、あなたの死があまりにも衝撃的すぎて、そのために、あなたが死んでしまったという事実を簡単に受け入れることが出来なくなってしまったからなんだ。その翌日、外に出て桜の花を見上げては見下ろした後、夜になってやっと僕の元に悲しみがやって来た。あまりの衝撃のために、悲しみは遅れてやってきたんだ。その夜、僕は泣いた。あなたのために、あなたを失った僕のために、僕は泣いた。僕の中であなたの死と僕自身が一体化してしまって、僕があなたの死そのものになってしまったような感じだった。僕はあなたの死そのも
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