柔らかな欲望/中原 那由多
意識が情(こころ)を脆くするから
私は道化師を演じてしまう
この微笑みは仮面でないと
貴女に伝える私は
いつになくおどけている
ただ、眺めていたい
罪人と罵られるのは
きっと発育途中だから
愛することに理由がないなら
憧れで償わせてほしい
後ろ髪と細い身体
白い制服のフェアリーテイル
抱き締めようにもすり抜けて
誘惑はしっとりと透き通ってゆく
無彩色が好きな理由は
貴女が纏っている色だから
単なる夢とは言いつつも
軽率でしたと懺悔する
過ちを繰り返しても
立ち止まるのはいつも同じ場所
愛しているから愛してくれよ、なんて
願っているのかさえ疑わしく
愛するよりも愛されたい、とは
もう抱えきれる矛盾ではなくなった
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