批評祭参加作品■喪服の者たちが向かうところ/岡部淳太郎
で仕事中に急に悲しくなって、ひとりで外の駐車場にうずくまって泣いたりということがあった。このようなことは、親しい者を失った後の喪失感からその存在がもういない状態の日常へと強制的に移り変らされ、それに慣れていく過程で起こるもので、変な言い方だが心が痙攣しているような状態なのだろう。
妹が亡くなった後、そのことをテーマにした詩や散文をいくつも書いてきた。直接的なテーマとすることもあったし、サブテーマとして扱うこともあった。それらの詩や散文を書くことによって、妹の死という重い現実からの精神的リハビリをしているような感覚がはっきりとあった。妹の死から今年で四年が経つことになるが、さすがにそれだけの時間
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