批評祭参加作品■「にぎやかな街」 水無月一也/たりぽん(大理 奔)
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「にぎやかな街」 水無月一也
引力というものが本当に万有であるなら、斥力もまた常に働いているのでしょうか。幸せな未来を求めるが故に足下に口を開けた淵の深さにとらわれてしまう。やさしい、という簡単な言葉で救うことのできない喪失がこの作品の冒頭から流れ込んでくるのです。
言葉を持たないものたちにまで問いかけ、沈黙の夜にやはりとうなずきながら。でも、どこかに救いはないかと。街はひとを溶かし込んではくれないのだと、寒さの中で空を見上げもしないで。そう、この詩では作者は一度も空を見上げていないのです。
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