批評祭参加作品■喪服の者たちが向かうところ/岡部淳太郎
 
時間を経てしまえば当初の激しい混乱や悲しみからはぬけ出してしまっている。それでも変らずこのテーマは自分にとって切実なものであるので、私は今後も妹のことを書きつづけるに違いない。たとえそれが妹の死を詩作に利用していることになっているのだとしても、私は変らずにそれをつづけていくことだろう。
 私と同じように親しい者の死を扱った詩作品はいくつもある。有名なのは宮沢賢治の「永訣の朝」などであろう。近年でも高階杞一の「早く家(うち)に帰りたい」という名作がある。また、ネット上でもそのような詩が散見されるが、気になるのはそれらの詩を書いた後で、書き手はどこに向かうのかということだ。喪に服することを服喪という
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   グループ"第3回批評祭参加作品"
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