海の上のベッド(連作集6)/光冨郁也
 
 点滴を打たれながら、病室の窓から海を眺めていた。看護師が言うには、わたしは雪の降り積もる中、マーメイド海岸でひとり倒れていたらしい。音もなく波が白くよせている。意識が戻って二日たった。熱が下がらない。
(わたしはどうしてここにいるのだろう)
頭が痛い。片手をつかい、ティッシュで鼻をかむ。丸めたティッシュをゴミ箱に捨てたら、外れた。視線を落とすと、床が水で濡れていた。二人部屋の隣のベッドは空いている。その隣のベッドの下まで水がきている。どうして。点滴は半分になっている。そばの台の、TVの横に装置がついていて、カードを差し込むようになっている。残り時間の少ないカード。することがなく、TVをつ
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