面接(3)/虹村 凌
の、悪い俺みたいなのがいて、そいつが、俺を、止めるんです。幸せになっちゃいけないって。それが終わったら、お前は立ち直れないって」
「…」
「永遠なんて、信じちゃいません。でも、終わりを見てる訳でもありません。誰だって傷つくのは嫌だってわかってます。俺が人一倍、弱いとかそういう事を言いたいんでも無いんです。ただ、怖いんです。知らない場所に行くみたいに、凄く怖いんです」
「じゃあ、期待もしてるんじゃないですか」
「え?」
「知らない場所に行く時って、何か期待しません?」
「…」
何かが、プチッと音を立てた。胸の中の、暗くて重い何かが、ずるっと滑り落ちた気がする。頬が熱い。
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