面接(2)/虹村 凌
 
「いえ、そういう事でも無いんですが、違わなくないような」
 俺は返す言葉に詰まり、珈琲カップを持ち上げてから、さっきその珈琲を飲み干した事に気付き、汗だくになったグラスの水を、一気に飲み干した。氷がガシャリと音を立てる。
 濡れた指をズボンで拭い、もう一度セブンスターを大きく吸い込む。紫色には見えない煙が、ぐるぐると舞い上がっている。
 さて、どこから話せばいいのだろうか。高校の頃からの話をすると、余裕でこの店の閉店時間を越えてしまいそうだし、そんな長い話は聞きたく無いだろう。重要なのは、俺がどう変わっているのかを、手短に、端的に、簡潔に、それでいて納得の出来る理由やエピソードを踏まえ
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