面接(6)/虹村 凌
は言えない。手に入れた幸せよりも大きな、違和感と不安、それに伴った恐怖が俺の両肩にのしかかった。寒気で震えそうな体をひきずって、俺は改札を通り抜けて、ホームへと続く階段を上っていった。丁度、電車がホームに滑り込んで来た。
「じゃあ、行ってくるわ。すぐ帰ってくるけど。」
俺はそういって、部屋を出た。錆びついた鉄骨階段を降りて、アスファルトの地面に足をつける。後から降りてきた女は、白い息を吐くと、何も言わずに歩き出した。俺もそれに倣って歩き出した。街灯の間隔が広い道を、並んで歩いていた。何かを喋っていたが、内容はよくわからない。ある程度歩いた時点で、俺の横を歩いていた女が、コートの袖
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