生まれ変わり/
ふるる
まれ変わるよりも、兄弟として生まれ変わった方がよかったのだろうか。
兄弟ならば、嫉妬に狂うことも、結ばれぬ苦しみに身をかきむしることもない。
ある日、弟は高熱を出して寝込んだ。苦しげに眠り続ける弟の額に手をやって、兄はつぶやく。
「せっかく会えたんだ、先に死ぬなよ。」
自分たちは、一生独身であるかもしれぬと、兄はぼんやり思う。
隠してはいるが、兄自身も、弟以外の人間に触れることはたまらなく嫌なのだ。
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グループ"短いおはなし"
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