風のオマージュ その9/みつべえ
 
晩まで受験教材とニラメッコ。あんなに勉強したのは生まれてはじめての経験だった。もう二度としたくない(笑)。
 というのは置いといて、上に掲載した作品はその予備校の便所のラクガキのなかにあった。もちろん無記名。だから後年、室生犀星の「我が愛する詩人の伝記」(新潮文庫)のなかで再会するまでは、そこの予備校生が気分転換に書いたポエムだと思い込んでいた(笑)

 これは恋のあこがれと不安をうたった抒情詩なのだろう。
 しかし「いま だれかが」「花の名を ささやいて行った」のを「風」が「追憶の日のように」「告げた」という、なんとも不思議な感覚。「いま」のことを「追憶の日のように」とは。「私のそばに」
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