風のオマージュ その9/みつべえ
☆立原道造「さびしき野辺」の場合
いま だれかが 私に
花の名を ささやいて行った
私の耳に 風が それを告げた
追憶の日のように
いま だれかが しづかに
身をおこす 私のそばに
もつれ飛ぶ ちひさい蝶らに
手をさしのべるやうに
ああ しかし と
なぜ私は いふのだらう
そのひとは だれでもいい と
いま だれかが とほく
私の名を 呼んでゐる・・・ああ しかし
私は答へない おまへ だれでもないひとに
札幌の予備校に通っていたことがある。冬期オリンピックがその都市で開催される前年のこと。予備校の寮に入って朝から晩ま
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