風のオマージュ その10/みつべえ
 
けだろう。その意味で、この詩集は私の貸し切りである(笑)。

 「蟹」は、とりたてて、すごい作品ではないが「ばらばらになった/蟹の殻が復原して/ざわりと動きだす」に原型へ戻ろうとする切ない意志を想う。そのロマンが前半の蟹を解体するリアリズムと玄妙に融合していて、私の趣味にぴったし。序を寄せているのが丸山薫であることにも興趣を感じる。丸山薫は当時、電々公社の機関誌「電信電話」の詩の選者をしており、萩原隆詩が熱心な投稿者であった縁で詩集「氷海」の序をかいたらしい。丸山の死と「四季」の終刊が1974年であったのを思うとき、私は血の系列のようなもの、それはたとえば、伊東静雄や立原道造、中原中也まで一気
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