風のオマージュ その10/みつべえ
 
らく同じ公務員ということで当時は営林署と電々公社で働く者たちは親しい関係にあったのだろう。人のよい父が萩原隆詩の職場である電々公社の友人から、この詩集を買わせられたのは容易に想像がつく。そのころ私は高校生で、旺文社の受験雑誌に載っている詩の投稿欄にせっせと作品を送ったり、営林署の輪転機を借り出してガリ刷りの詩集を作ったりしていた。それで父が気をきかせて地元に縁のある詩集をもってきてくれたのだろう。
 全国で毎年たくさんの詩集が発行されるが、その多くは内輪で配られ、一時的に話題になってもその後は本棚の奥へ迷宮入りになる。この詩集も、っていうか、自費出版されるほとんどの詩集は、そういう運命をたどる。
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