今夜月明かりに虹を見る ?/rabbitfighter
太陽の光の届かない海底で暮らすのはどんな気分だろう。昼と夜の区別のない世界で暮らすのは。
「おはよう」と、彼女が言う。おはようと僕も答える。彼女がベッドの上で軽く伸びをすると、乾いた音が小さな僕の部屋の壁を優しく撫でるように響いていった。
ちょうど夕食時の食堂はにぎやかに雑音で満ちていた。インド人の学生のグループの話し声が一際大きく聞こえていた。僕たちは窓際に席を見つけて軽めの夕食をとった。彼女はベジタブルスープと小さなパン、僕はチキンビリヤニ。窓から漏れた光が黒い海面をかすかに照らしている。ここから月は見えない。彼女は珍しく最後まで食べた。まるで拭き取る様に、ボウルの底に残ったスープをパ
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