ぺぺ/木屋 亞万
愛を口からしか伝えられない男を可哀相に思う
女はじっと見つめるだけで相手をその気にさせるのに
朝起きたならインスタントコーヒーを掻き混ぜるスプーンの音
おはようという言葉が静かな猛毒のように私を目覚めさせる
ペペロンチーノを作ったのだと貴方は言い、ベーコンと鷹の爪が入った
お手製のパスタをベッドサイドテーブルに運んでくる
コンソメで味を整えたオリーヴとガーリックの香り
舌をピリッと刺激する辛さと出来立ての温かさ
網戸から涼しい朝の風が吹く、今日は曇り昼過ぎから雨
遠く見下ろす町並みは音に溢れてクラクションとサイレン
がさりと髪が逆立つ、違和感が胸の裏をざらり
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