ぺぺ/木屋 亞万
 
らりと撫ぜる
パスタが銅線のように硬く、わずかに電流すら感じる

胃にピリピリと不快感を覚える、唐辛子の辛さではない
舌の両脇が苦みを感じる、コーヒーによるものではない

私たちはお互いの情報を不自然にしか伝えられない
語らいながら同じ物を食べて一緒に眠り、別々に起きる

それぞれの生活へと帰っていく平日の朝
貴方のその後を私は全く把握していない

久しぶりに食べる彼のペペロンチーノは少し複雑な味がして
彼のいれたコーヒーはミルクを入れてもまだ苦かった

男の口から愛を聞くまで安心できない、不安な朝
女はじっと見つめながら、愛の真偽を計ろうとする

昼過ぎから降る本気の雨が
二人の足場を固める雨であればいい
   グループ"象徴は雨"
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