如雨露/木屋 亞万
響いて
銃が大きく鼻で笑う、乾いた破裂音
何かのために誰かを殺す、どこでも、いつでも、人間は
緑色した如雨露が、
兵士のくすんだ緑色の軍服と重なって
園児は彼女を突き飛ばした
せっかく園児のよくわからない盛り土ごっこに付き合ってあげたのに
と、不機嫌になった彼女は笑顔で如雨露を拾い上げ
足早に教室の方へと帰っていった
園児は頭の中でこのようなことを呟いた
知らないということが免罪符にはならない
この土が私にとって何を意味するか
彼女は知らない、そして私も伝える言葉を知らない
園児が言いたいことが何なのか、誰にもわからないまま
恐らく園児が言葉を知る頃には
それは瓦礫のように崩れてしまっているのだろう
絶え間ない大人の暴力によって
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