雨の日の庭、傘から聞く風景/木屋 亞万
潤な風がひやり
庭の先にはコンクリート
ブロック塀が続いていて
私の傘の中、心の中から
覗くと想像の森に変わる
私を見守る目が閉じられた日
本が机と同化し始めても
雨の降る気配はない
傘を持って縁側で待つも
雨の降る気配はない
いつかの雨の日に戻りたくて
小さな赤い実を引きちぎり
空へ放り投げて傘を開いた
ピラカンサがバラバラと降るも
雨の降る気配はない
刺に傷ついた手が痛む
ようやく雨が来る
濡れたアスファルトの
熱気が香ってきて
私は私の場所へと帰って
傘を広げた
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