生乾き/木屋 亞万
この頃はどうも選択物が乾かないので困る
心の窓辺、カーテンレールに
外に出せないでいる選択物がずらり
じめじめと蒸し暑い室内で
頭脳が知恵熱を出しながら文字を打つ
――愛してる好きです付き合って下さい
ストレートなジーンズの裾は生乾き
ジリジリと燃えるようにフローリング
――手を繋ごう笑ってほしい側にいて
油に湿ったフレアスカート、燃えて
窓辺で舌が乾いていく
喉までからからとしてきて
言葉が外まで届かない
カーテンを開けているのに
光が少ないのは外が雨だから
カーテンレールに洗濯物ぶらさげて
意外と近くにいる気がするのに
僕は君に名前さえ聞けないでいる
汗の充満した部屋から抜け出し
雨の中だって走るさ
大きめの傘さして
恋文が濡れたって構わない
文字がにじんでも関係ない
口が代わりに伝えるさ
心の窓は割って来たもの
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