ダイヤ乱夢/木屋 亞万
止む気配がなく、電車は来ない
電光掲示板の隅の赤い数字が増えていく
名前を呼ぼうとしても
声を聞こうとしても
あなたは遠い
私は知らないのだ
名前も声も
夢の中で私の知っているあなたが
何度も何度も現れる
それが決まって駅なのは
私が電車よりも遅れていて
どこかでとまったままだから
生きろと死ぬなの違いなんて考えたことがなかったのに
生きろと歌う音楽が私の背中を拳で叩く
私が復旧する頃にあなたは
まだ駅にいるのだろうか
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