ダイヤ乱夢/木屋 亞万
 
止む気配がなく、電車は来ない
電光掲示板の隅の赤い数字が増えていく

名前を呼ぼうとしても
声を聞こうとしても
あなたは遠い
私は知らないのだ
名前も声も

夢の中で私の知っているあなたが
何度も何度も現れる
それが決まって駅なのは
私が電車よりも遅れていて
どこかでとまったままだから


生きろと死ぬなの違いなんて考えたことがなかったのに
生きろと歌う音楽が私の背中を拳で叩く
私が復旧する頃にあなたは
まだ駅にいるのだろうか
   グループ"象徴は雨"
   Point(2)