沈黙の内側、ダイヤグラムは途切れたものばかりで体裁を整えている(2)/ホロウ・シカエルボク
ったまま俺に冷えた視線を向け続けている。俺は腹を決める。どちらにしてもこいつをこのままにしておくわけには―俺の中のイマジネーションは死に絶えてしまう。
俺は少しの間沈黙してそいつの目をじっと見返してみた。
言葉が無いから話せないわけじゃない。そこにはそんな言葉があるような気がした。そんな言葉を話していた。言葉がありすぎて話せないのかもしれない。やつの脳内ではいま、暑い季節の終わりを告げる赤蜻蛉のように様々な言葉が飛び交い、そのせいでどいつを捕まえればいいのか判らなくなっているのかもしれない。あるいはそれが、それらすべてが言葉になる前の生々しい熱を持った感情の種なのかも。
それがどんなものにせ
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