連作「歌う川」より その2/岡部淳太郎
 
にとって共有の財産である。だが、その流れの一部あるいは全体を故意に汚したり、己の好きな方向に流れを変えたりすることは大いに呪われる。これらのことを行う者は、自らのいのちでさえ同じように扱うであろう。

川――それは魂の水路であり、全ての魂はこの路を通って次の場所へ赴く。たったいま肉体を離れた魂も、これから新しい肉体に宿る魂も、みなわけへだてなく、この同じ路を辿る。肉体を離れてから多くの時を経ていながら、なお次の肉体に宿ることの出来ない魂はひとつのところに集まっており、人はその場所を淀みと呼ぶ。そんな魂があまりにも多く集まり過ぎた時には、天は雨を降らせ、水かさを増させ立ち止まった魂が一刻も早く目
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