祈る人は知る
自らの歌が
ひとつぶの声であることを
自らの祈りが
ひとつぶの声であることを
橋を離れ
その下の暗黒を離れ
いまや大河の様相を呈し始めた川に沿って
祈る人はなおも歩いている
橋を渡る
旧人類の群れを遥か後ろに
置き去りにして
祈る人はなおも歩きつづけている
川は歌っている
自らの歌が
ひとつぶの声であることの
喜びを
川が
無数のひとつぶの水で出来ているように
人類は
数え切れないほどのひとつぶの
ひとりの人で構成されている
今夜
宇宙をひとつぶの歌が飛行する
その歌
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